研究課題/領域番号 |
16591553
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
麻酔・蘇生学
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
志馬 伸朗 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (00260795)
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研究分担者 |
中屋 隆明 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (80271633)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2005年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2004年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 敗血症 / 自然免疫 / プロバイオティクス / 消化管 / 常在菌 / 抗菌薬 / エコシステム |
研究概要 |
自然免疫は細菌などの異物をパターン認識し様々な宿主応答を介してこれを排除しようとする原始的免疫機構である。本研究では重症病態における自然免疫機構の関わりについて検討した。まず重症感染症における自然免疫システムの役割について、マウスを用いた緑膿菌肺感染症モデルで、グラム陰性桿菌の病原因子であるリポポリサッカライド(LPS)に対する自然免疫受容体の一つであるTLR-4の意義を、TLR-4欠損マウスを用いて評価した。緑膿菌の細胞障害性が強い場合、TLR-4の欠損は重篤な肺障害と死亡予後をもたらし、自然免疫機構の存在が重症感染症において宿主防御に不可欠な機構であるとわかった。一方、細胞質内の細菌成分に対する自然免疫系因子であるNodファミリーの関与を検討すべく、細胞工学的手法を用いてNod遺伝子をプラスミドに組み込んだpEFBOS-Nodを作成し、これを細胞に導入しin vitroでのNod遺伝子の反応性を評価するシステムを開発した。現在、各種リガンドによる刺激に対するNod系の反応を評価中である。次に、消化管に内在する細菌群の自然免疫系への影響、及び重症感染病態における意義について検討した。抗菌薬の多剤投与による消化管常在菌叢の根絶動物モデルを作成し、感染症時の自然免疫応答の変化を評価した。多剤の抗菌薬を投与した場合、LPS投与に対するTNF-αの血中濃度上昇は有意に抑制され、これは細胞表面へのTLR-4の発現性減弱と相関していた。また、抗菌薬投与マウスでは有意の体重減少を認めていた。以上より抗菌薬投与による消化管常在菌巣の撹乱が、病原性微生物進入に対する宿主の自然免疫系の反応性を修飾し、総体として宿主の抵抗性減弱という臨床症状を引き起こす可能性を示唆した。以上の結果は2006年度中に国内外での関連医学会にて報告する。これらの経過を踏まえ、次に根絶された消化管常在菌をプロ・プレ・シンバイオティクスの投与にて補充した場合の反応性の変化(回復)に関してのデータ集積を続けている。
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