研究概要 |
(1)in vitroにおける検討 前立腺癌細胞におけるVEGFの発現について,2種類の細胞株(LNCaPおよびC4-2)を用いてホルモン抵抗性前立腺癌細胞株C4-2がVEGF産生に関与するのか検討した。その結果,C4-2はホルモン感受性前立腺癌細胞株LNCaPに比べ,有意にVEGFの産生が多く,ATIRの発現も強いことが判明した。また,これらの細胞株において,ATIR阻害剤が直接,抗腫瘍効果を認めるのか,in vitroにおいて検討を行ったところ,24-72hのATIR阻害剤の投与にてもこれら細胞株における細胞増殖に影響を認めなかった。以上から,ATIR阻害剤の抗腫瘍効果は,血管新生阻害が中心であることが示唆された。 (2)in vivoにおける検討 上記の2種類の細胞株によるヌードマウス皮下腫瘍モデルを確立し,28日後にその腫瘍増殖速度,腫瘍内の微小血管密度(MVD),ATIRの発現の差異等について検討を行った。その結果はin vitroで得られた結果に近似し,ホルモン抵抗性前立腺癌は腫瘍内の血管新生を多く誘導する傾向を認めた。さらに,上記のヌードマウス皮下腫瘍モデルにおいてATIR阻害剤を投与したところ,コントロール群に比して,有意に腫瘍容積が抑制されること,さらには血清PSAも抑制されることが確認された。以上の内容については,The Prostateに近々,publishされる予定である。 (3)他癌における検討 本研究は前立腺癌を対象としたものであるが,泌尿器科領域の他癌においても同様な現象が認められるのか,検討を加えた。KU19・19の皮下腫瘍モデルをヌードマウスに作成し,同様な検討を加え,膀胱癌においてもATIR阻害剤は血管新生を抑制することにより,抗腫瘍効果を発揮することが証明された。以上の内容については,Clin Cancer Res 12,2888-2893,2006に報告した。
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