研究課題
基盤研究(C)
代表研究者である中川は米国ニュージャージー州立大学において子宮頸癌の原因とされるヒトパピローマウイルスの癌遺伝子産物であるE6癌蛋白と細胞蛋白でubiquitin-protein ligaseであるE6APにより分解を受ける新規蛋白としてhuman Scribbleを同定した。human Scribbleのショウジョウバエのホモログは細胞極性を決定する機能をもち、その遺伝子変異導入により個体は細胞極性の崩壊とともに脳や関節に腫瘍を形成するため、癌抑制蛋白であることが証明されている。このようなscribbleの遺伝子変異導入された個体にhuman scribbleを導入することにより、細胞極性の崩壊や腫瘍形成が抑制されることより、human Scribbleはそのショウジョウバエのホモログと同様に癌抑制蛋白として働くと考えられる。我々は、このhuman Scribbleが上皮細胞の細胞周期調節を介して、細胞増殖の制御機能を持つかを検討することにより、この癌抑制蛋白をもちいた遺伝子治療の基礎的な検討を行った。human ScribbleにGreen fluorescence proteinで標識を施し、細胞内で発現させ、その細胞の細胞周期の変化を検討したところ、human Scribbleが発現した細胞では、細胞周期がG0/G1からS期への進行が著明に低下していることが認められた。また、human Scribbleが実際に細胞増殖のコントロールをするかを、このhuman Scribbleが発現している細胞を薬剤耐性により選択し、コントロールの細胞と比較したところ、human Scribbleが発現した細胞は形成するコロニー数が著明に少なく、human Scribbleは上皮細胞の増殖を制御することが明らかになった。これらの細胞周期調節能および細胞増殖抑制能にhuman Scribbleのどの部位が重要化を検討した。human Scribbleは16のLeucine-rich repeatsと4のPDZ domainを持つ。これらのドメインは他の蛋白との結合部位であり、それぞれのドメインを欠出させた変異体を作成し、その細胞周期調節能および細胞増殖抑制能を検討したところ、human Scribbleがその抗腫瘍効果を示すには少なくとも、16のLeucine-rich repeatsと1番のPDZ domainを要することが明らかになった。このhuman Scribbleがその抗腫瘍効果を示すのに必要なドメインに含まれる領域と結合する蛋白を検索したところ、大腸癌で高率に変異が検出される癌抑制遺伝子adenomatous polyposis coliの産物であるAPCと結合することが明らかになった。これらのことから、human Scribbleがその抗腫瘍効果を示すには癌抑制蛋白で細胞の増殖抑制に重要な機能をもつ癌抑制遺伝子adenomatous polyposis coliの産物であるAPCと結合することが不可欠であることより、human ScribbleはAPCと強調して細胞の増殖制御に関わることが明らかになった。
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