研究課題/領域番号 |
16591657
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
産婦人科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田原 正浩 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (00294091)
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研究分担者 |
田坂 慶一 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (50155058)
坂田 正博 大阪大学, 医学部附属病院, 助教授 (10260639)
大道 正英 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (10283764)
峯川 亮子 大阪大学, 医学部附属病院, 助手 (10359838)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2005年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2004年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 妊娠中毒症 / 血管攣縮 / 血管内皮障害 / 低分子量G蛋白 / Rho / Rho-kinase |
研究概要 |
本研究では、周産期死亡や母体死亡の主要原因の一つである妊娠性高血圧腎症(Preeclampsia、以下P)の病態形成を明らかにするため、血管攣縮にいたる機序や血管内皮障害に基づく血管透過性亢進の機序の解明を目的としている。血管透過性を規定する内皮細胞間の強度は、細胞間接着分子VE-cadherin(VE-c)や低分子量G蛋白などにより調節されているが、私たちはこれまで妊娠性高血圧腎症での血管透過性亢進におけるRho familyを介した伝達経路およびVE-cadherinの関連を検討しきた。 (1)これまでに臍帯静脈内皮細胞系を用いたin vitro barrier function assayの系(膜の経上皮電気抵抗(TEER)とHorseradish peroxidase透過実験)を用いて、P妊婦血清が正常妊婦血清に比較し有意に透過性の亢進を引き起こすことを見いだした。(2)さらにRho-kinase阻害剤Y27632で前処理したHUVECを用い、透過性の変化を検討したところ、P妊婦血清の透過性の亢進作用はY27632による前処理で抑制された。次に、その分子メカニズムを検討するため、血管透過性の調節に作用していることが知られている細胞接着分子(VE-cadherin)に注目し、その発現を検討した。(3)妊娠高血圧腎症患者の血管内皮細胞間ではVE-cadherinの発現が減弱していた。2)VE-cは隣接するHUVEC間隙にほぼ均一にみられたが、P妊婦血清の添加により細胞間隙のVE-c染色性が減弱した。(4)上記(3)の現象はRho-kinase阻害剤により抑制された。(5)P妊婦血清は、ヒト臍帯静脈内皮細胞培養系においてRhoAを活性化することをRho activation assay (pull-down assay)を用いて見いだした。以上の結果より、P妊婦血清は、RHo/Rho-kinaseの活性化およびVE-cの局在の変化を介して血管の透過性を亢進させることが示唆された。 これらの成果は、平成18年の日本産科婦人科学会にて発表を行った。以上の結果から、妊娠高血圧腎症においてRho-kinaseの情報伝達遮断が、血管透過性の調節を介して、血管透過性の制御という新しい観点からの新しい妊娠高血圧腎症の治療戦略となりうる可能性を示すものである。
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