研究課題/領域番号 |
16591731
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
|
研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
渡邊 健一 日本医科大学, 医学部, 講師 (80281434)
|
研究期間 (年度) |
2004 – 2005
|
研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
|
配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2005年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2004年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
|
キーワード | シスプラチン / 内耳障害 / 細胞死抑制 / 内耳保護治療 / 細胞死抑制蛋白質 |
研究概要 |
プラチナ製剤であるシスプラチンは頭頚部癌治療に広く用いられている有効な抗癌剤である。一方で、内耳障害、骨髄抑制、腎機能障害などの副作用を来たす事も知られている。特に内耳障害は抗癌剤投与中止の一因となっている。われわれはシスプラチンによる内耳障害にフリーラジカルを産生する誘導型一酸化窒素合成酵素が関与していることを既に示した。さらに、この内耳障害は最終的に細胞死をもたらすことも明らかになって来た。今回の研究の目的は細胞死抑制による内耳障害軽減であり、以下の点が明らかになった。 1.細胞死抑制因子であるBC1-XLから作成された細胞死強化蛋白質FNKにHIVのTat蛋白質ドメイン(PTD)を結合させPTD-FNKをマウスに投与し、PTD-FNKは内耳血管関門を通過し内耳組織内に到達した。 2.シスプラチン単独(17mg/kg)投与群では投与後7日で聴性脳幹反応検査において聴覚閾値の上昇を認めた。また、BUNおよびクレアチニンの上昇を認めた。 3.シスプラチンおよびPTD-FNK投与群では聴覚閾値の変化を認めなった。生存率もシスプラチン単独投与群に比べ有意に改善した。また、BUNおよびクレアチニンの上昇も抑制された。 4.担癌マウスを用いた実験ではシスプラチン投与により腫瘍の増大率が抑制された。シスプラチンおよびPTD-FNK投与群でも腫瘍の増大率は抑制され、PTD-FNK投与がシスプラチンの抗癌作用を抑制しなかった。 これらの結果より、PTD-FNKはシスプラチンの抗癌作用を抑制することなく、内耳障害および腎機能障害を効果的に軽減することが示された。抗癌剤投与は癌治療において重要な役割を果たしており、今回の実験結果は臨床的にも広く応用ができ、化学療法に大きな貢献をするものと考えられる。
|