研究概要 |
肥満細胞のアレルギー性結膜炎への関与について、まず肥満細胞欠損を生じたマウスを用いて、肥満細胞の関与を養子移入モデルを用いて検討した。その結果、好酸球の浸潤は、肥満細胞の活性化による調節が必要であることが示された。 肥満細胞の調節に関わる因子に関して、そのレセプターを結合組織型肥満細胞上で検索したところ、CCR1,CCR2,CCR3,CCR5,CXCR3の発現を認めた。とくにCCR1,CCR3,CXCR3は結膜肥満細胞上に顕著に発現していた。まず、それらのリガンドの中でCCL3に関してその役割の検討をおこなった。CCL3は、即時相の反応の際、特徴的にその発現は増大するが、我々は、CCL3が結膜肥満細胞の適切な脱顆粒反応にとって不可欠であるのみならず、in vivoにおいても肥満細胞によりmediateされる即時型過敏反応にとっても不可欠の因子であることを報告した。 肥満細胞を制御しうる因子の解析を行うため、我々はアレルギー性結膜炎モデルのtranscriptomeとしての解析とin vitroにおける肥満細胞のシグナリングの制御の双方向からのアプローチを試みた。このため、種々の肥満細胞系の検討を行い、vivoに移入可能かっ、妥当な成熟型の表面レセプター、肥満細胞特異的プロテアーゼの発現を発現する結合組織型肥満細胞系の確立を行った 次にCCR3のリガンドであるCCL11に関して、CCR3 antagonist,CCR3抗体投与、CCL11欠損マウスの解析を通じて、肥満細胞を介する即時型過敏反応にはCCL11/CCR3 axisが重要であることが判明した。特に、CCR3はIgEを介する脱顆粒に必要であり、結合組織型肥満細胞において活性化に必要とされるレセプターの中でdefaultと位置づけられるレセプターとなっていることが推察された。そこでCCR3の阻害によるtranscriptomeの詳細なnetwork解析を行った。その結果CCR3を介する副刺激経路にはPI3K, NFκB, MAPK経路が関与していることが判明してきた。現在、これらの解析を通じて浮かび上がってきたいくつかの治療候補分子に関して、in vitroおよびin vivoの両面から治療標的としての評価をめつつある。
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