研究概要 |
千葉大学医学部附属病院救急部・集中治療部に入院した患者からインフォームドコンセントを得た上で,現在までにSIRS症例30例から末梢静脈血または動脈血約20mLを採取し,これよりmRNAを抽出した.ABI PRISM 7000 sequence detection systemならびにTaqman RT-PCRキットを用いたリアルタイムRT-PCRによって,IL-1β,IL-6,TNF-α,IFN-γ(interferon-γ)などSIRSにおいて重要な役割を果たすことがすでに明らかな炎症性サイトカイン,IL-10,IL-1raなどの抗炎症性サイトカインの発現レベルを解析した. SIRS症例におけるその原疾患,重症度,予後や血清サイトカイン濃度,単球中HLA-DR発現率などの臨床データを収集し,白血球中の各種遺伝子の発現レベルとの相関について解析した.血中サイトカイン濃度は,ELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)にて測定.ICU入室時の患者重症度をAPACHE II(acute physiology and health evaluation II)score,およびSOFA(sequential organ failure assessment)scoreにて評価した. その結果,SIRS症例30例のうち,敗血症症例20例において,入室後1日間のIL-10発現レベルの上昇が,死亡の転帰を予知するmarkerとなる可能性が示唆された.さらに,入室後1日間のIL-10発現レベルの上昇は,敗血症患者の免疫能の指標である単球中HLA-DR発現率の低下を,事前に予知するmarkerとなる可能性が示唆された.
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