研究課題/領域番号 |
16591811
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
救急医学
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
岩坂 日出男 大分大学, 医学部, 助教授 (90175216)
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研究分担者 |
北野 敬明 大分大学, 医学部, 助教授 (20211196)
鵜島 雅子 大分大学, 医学部, 助手 (90336256)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2006年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2005年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2004年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 脳虚血再灌流障害 / UCP-2 / エチルピルビン酸 / アポトーシス / ミトコンドリア / HMGB1 |
研究概要 |
心肺蘇生の最も重要な目標は脳蘇生にある。したがって脳虚血再灌流障害モデルを用いて脳障害の改善効果についてミトコンドリアを中心とした分子レベルでの脳蘇生法の検討を行った。ミトコンドリア膜に存在するuncoupling protein2(UCP-2)はミトコンドリアのエネルギー調節に関係しミトコンドリアへのエネルギー過負荷を軽減している。脳虚血再灌流障害においては脳細胞へのエネルギー過負荷を抑制するために障害程度が強くなるに従ってUCP-2の発現が増強してくることが明らかと成った。従ってあらかじめUCP-2を虚血再灌流前に誘導しておくことで障害を軽減できる可能性がある。UCP-2は温熱ストレスを加えることで誘導することが可能であった。UCP-2誘導を脳虚血再灌流の前に実施しておくと脳障害が軽減し、アポトーシスを抑制し、障害因子であるHMGB1の発現を抑制し、低体温療法に優る生存率の改善を得ることが可能であった。今後、UCP-2の誘導剤、遺伝子導入の改善は新たな脳蘇生法の開発につながると考えられた。エチルピルビン酸は虚血組織での活性酸素種の除去と虚血細胞へのエネルギー供給をもたらすと考えられている。脳虚血再灌流ショックモデルの蘇生にエチルピルビン酸を用いると従来の蘇生法に比較して生存率の向上が得られた。この機序にはさらにエネルギー供給によるアポトーシスへの移行を減弱させることも関係していると考えられた。今後、エチルピルビン酸輸液剤の開発と心肺蘇生時、手術時への臨床応用は脳障害の改善につながることが期待される。HMGB1(high nobility group box1)は敗血症をはじめ各種病態での細胞障害、臓器傷害に関連する新規メディエータとして注目されている。今回の研究により脳虚血再灌流障害でも脳障害に関係している可能性が示唆された。HMGB1の制御法の開発、臨床応用は心肺蘇生時の臓器傷害の予防に重要となってくると思われる。
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