研究課題
基盤研究(C)
我々の最終的な研究目標は、代表的な歯原性良性腫瘍でありながら明瞭なmalignant potentialを有するエナメル上皮腫の予後を大きく左右する術後再発や悪性転化に関する分子機序の解明、ならびに同疾患に対する新たな治療法や再発制御法の開発である。上記研究目標の達成を目指して、本研究課題においては特にエナメル上皮腫の基礎医学研究に資することを目的に、follicular型とdesmoplastic型のエナメル上皮腫症例から不死化培養細胞株の樹立を試み、各々の切除組織よりヒト・エナメル上皮腫不死化細胞株HAM1とHAM2の樹立を成功させ、世界初のin vivoマウス移植モデル系を確立した。本モデル系はSCIDマウスへの移植によって短期間で確実な嚢胞様腫瘍の形成が可能であり、且つin vivoにおいてもエナメル上皮腫としての病理組織学的形質をよく保持することが確認された。一方、インフォームドコンセントを得たエナメル上皮腫症例の収集を進め、多施設の共同研究機関より新鮮切除組織8症例と臨床的データを具備するパラフィンブロック65症例を収集した。これらのヒト試料を用いて、研究責任者らがヒト転移性細胞株のマイクロアレイ法による網羅的発現解析で得た転移関連分子群(Cancer Res.,69:2535-2540,2000;Oncogene,20:4228-4234,2001)に関してRT-PCR法による発現解析ならびに免疫組織学的解析を進め、同関連分子の一つがfollicular型、plexiform型、acanthomatous型、desmoplastic型、およびこれらの組織型の混合型において高頻度に発現亢進していることを見出した。さらに、同関連分子に対する特異的阻害剤によってHAM1とHAM2の"in vivo細胞増殖能、ならびにin vivo腫瘍形成能が著しく抑制されることを明らかにしつつある(投稿準備中)。以上の結果より、本研究課題で確立したヒト・エナメル上皮腫不死化細胞株HAM1とHAM2はエナメル上皮腫の基礎医学研究に有用な実験モデルであり、同モデル系を用いた解析によって見出された関連分子はエナメル上皮腫の再発制御に有効な分子標的となりうると考えられる。
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