研究概要 |
口腔内組織由来の上皮細胞と線維芽細胞のインターラクションや細胞内情報伝達系における特性を明らかにすることは重要であり,それらと細胞増殖,炎症との関係を明らかにすることは,多くの歯周疾患の発症機序の解明と新規薬物療法の開発の可能性につながると期待される。 本研究では口腔上皮細胞におけるEtsgenefamily,特にEpithelium-specific ets transcription factorの発現と役割について検討した。口腔扁平上皮癌由来上皮様細胞(HO-1-N-1細胞)におけるEpithelium-specific ets transcription factor, family member-1,-2,-3(ESE-1,-2,-3)の発現にっいて検討したところ,HO-1-N-1細胞ではESE-1,-2,-3,いずれにおいてもbasal levelにおいてmRNAの発現が認められた。しかしながら,IL-1αやIL-1βによってESE-3mRNA量は用量依存的に増加したが,ESE-1,-2皿RNA量には変化が見られなかった。また,同様にphorbol12-myristatel3-acetate(PMA)によってESE-3mRNAの用量依存的な増加が認められ,PMAによって増加したESE-3mRNAはprotein kinaseC(PKC)inhibitor(bisindolylmaleimide, BIS)やMEK1/2inhibitor(UO126)によって顕著に抑制された。 したがって,HO-1-N-1細胞においてESE-3は炎症の過程において重要な役割を有している可能性が示唆された。さらに,ESE-3はPKCが活性化されることにより増加し,MEK1/2pathwayを介する経路によって発現することが示唆された。
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