研究概要 |
1.in vitroにおける遺伝子導入効率および細胞毒性の検討 lacZ遺伝子を含むアデノウイルスベクター(Ad-lacZ)を用い、このLEKTI full length cCNAをベクターに組み込み、Ad-lacZ-LEKTIを作成した。腫瘍はヒト口腔扁平上皮癌由来のSAS,HSC-2,3,4を用いた。現在までに、Ad-lacZおよびAAV-lacZを用いてSASおよびHSC2,3,4細胞にLacZ遺伝子の導入が可能であることが確かめられている。これらの腫瘍細胞をチャンバースライドに播種し、24時間後Ad-lacZ-LEKTIを各種濃度で感染させ,さらに72時間培養後X-gal染色し遺伝子導入効率および,細胞毒性について検討し,至適投与濃度を決定した。またGCVも同様に様々な濃度で添加し、添加72時間後の生細胞数を計測した。その結果、遺伝子導入された細胞はX-galにて染色され、4種の細胞株における遺伝子導入効率はMOI=1で20%程度、MOI=10ではほぼ100%であった。細胞株におけるアデノウイルスの細胞毒性はMOI=100以上で細胞毒性を示した。また、GCVにおいては25μg/ml以上で細胞毒性を示した。 2.in vitroにおける殺細胞効果の検討 同様の方法で腫瘍細胞を播種し24時間後,1にて決定した至適投与濃度にてAd-lacZ-LEKTIを感染させ、さらに72時間培養後生細胞数を計測し、細胞生存率を算定し、未処置群と比較検討した。その結果MOI=1での殺細胞効果は60%程度、MOI=10ではほぼ100%であった。 3.in vitroにおける形態学的変化 4種の細胞株をそれぞれ培地1ml中に2×10^4個の割合でガラスボトムディッシュに播種し、24時間培養後Ad-lacZ-LEKTIをMOI=10で感染させた。感染24時間後10μg/mlのGCVを添加し、経時的にビデオ強化型微分干渉顕微鏡にて形態観察をおこなった。その結果GCV投与後24時間以内に導入した細胞は核濃縮、細胞縮小、細胞膜の小胞形成などアポトーシスを示す形態学的変化が観察された。
|