研究分担者 |
古森 孝英 神戸大学, 大学院医学系研究科, 教授 (50251294)
寺師 浩人 神戸大学, 医学部附属病院, 助教授 (80217421)
梅田 正博 神戸大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (60301280)
一瀬 晃洋 神戸大学, 医学部附属病院, 助手 (90362780)
尾島 泰公 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (40403240)
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研究概要 |
顎骨における骨治癒能を高めるために多くの研究がなされてきた.その一つとして遺伝子治療がある.遺伝子導入によって治癒促進のための成長因子を発現させ,骨形成の促進や増強が成されれば骨折,再建,仮骨延長などの治療において福音となる.この成長因子の発現,作用と骨治癒との関係の研究は長管骨では従来から行われており一定の見解が得られている.膜性骨である頭蓋顎顔面骨においても最近研究が行われているが,長管骨と同様であるという報告や,全く異なるという報告など一定の見解は得られていない.口腔外科臨床において,われわれは下顎欠損の再建に遊離腓骨を頻用している.これは膜性骨の欠損に長管骨を移植するもので,このような移植部での骨の治癒機序や成長因子の発現などに関する知見は皆無であり,さらにはそこで起こり得るカールスフォーメイションはレシピエント側の膜性骨が主体なのかドナー側の長管骨が主体なのかなどに関する研究も全く行われていない.最近の研究によって,骨形成や治癒過程における多くの情報が成長因子を中心に蓄積されてきた.しかし,これらの研究は長管骨または膜性骨単独の治癒過程によるものであり,膜性骨に長管骨を移植するような場合は想定されていない.仮に遺伝子治療によって再建移植部の治癒促進を図ることを最終目的とするならば,このために必要な安定した遺伝子供給のための遺伝子発現の研究が不可欠であると考える.われわれは実際の臨床において,下顎骨と長管骨の間にPRP(platelet-rich plasma:多血小板血漿)にPCBM(Particulate Cancerous Bone and Marrow:自家骨骨髄海綿骨細片)の混合物を挿入し骨接合部のカールスフォーメイション促進を試みてきた.しかし,成長因子および細胞外基質タンパクの発現とその導入によるカールス部の治癒状態の変化について基礎的な知見を得てはいなかった.そこで本研究では実験的にPRP中の血小板活性(血小板凝集能,TGF-β含有量および骨分化誘導能)を証明することを目的とし,この再建方法の妥当性について臨床応用を行った.
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