研究概要 |
Sevofluraneと慢性アルコール摂取は心筋に対してIschemic Preconditioning(PC)様の虚血再灌流障害を軽減する作用が報告されている。今年度はsevofluraneがアルコールによる虚血心筋保護効果を増強するか否か、およびその相互作用におけるProtein Kinase C(PKC), Mitochondrial K_<ATP> channel(Mito K_<ATP>)の関与について検討した。【方法】モルモットを用い,Langendorff灌流心で全群に30分間虚血,120分間再灌流を行った。これを対照群(CTL群)とし,sevoflurane PCとしてセボフルラン(1MAC)を虚血前に10分間投与後,10分間wash outした(SEV群)。アルコールPCは2.5%アルコールを6週間摂取により誘発した(2.5%EtOH群).2.5%EtOH+S群では2.5%EtOH群にセボフルランをSEV群と同様に投与した。さらにPKC拮抗薬のchelerythrineおよびMitochondrial K_<ATP> channelの拮抗薬の5HDを2.5%EtOH+S群に虚血前20分間灌流した群(2.5%EtOH+S+CHE群,2.5%EtOH+S+5HD群)を作成した。左心室圧(LVDP),左室拡張終期圧(LVEDP),心筋梗塞サイズついて各群間で比較検討した。【結果】再灌流後,SEV群,2.5%EtOH群,2.5%EtOH+S群の3群ではCTL群に比べ,LVDPは有意に高値を示し,LVEDP, ISは低値であった。2.5%EtOH+S群では,2.5%EtOH群,SEV群の梗塞縮小効果をさらに増強した。また,CHE,5HDの投与によりこの効果は消失した。 【考察】SevofluraneはPKC, Mito K_<ATP>の活性化を介しアルコールPCを増強することが判明した。
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