研究概要 |
抗てんかん薬服用による歯肉増殖症発症に関与する要因を数量化H類を用いて分析した結果「抗てんかん薬の種類」と「口腔清掃状態」が抽出された。フェニトインによる歯肉増殖と歯周病関連細菌の関連について重症心身障害・肢体不自由者を対象に調査した結果,障害の程度に関わらずP.g.,B.f.が歯肉増殖の重症例に有意に高い割合で検出された. 重症心身障害者施設入所者のCPIによる歯肉所見は歯科疾患実態調査の結果に比べ早期に悪化しており,20歳代から進行した歯周疾患に罹患していた。ペリオチェック検査においても20歳代から強陽性を示す者がみられはじめ,さらに歯肉所見がなくとも陽性を示す者がみられその割合は年齢とともに増加していた。重症心身障害者施設入所者に対する専門的な口腔清掃前の歯周検査でペリオチェック強陽性(++),BOP(+)を示した3名を対象に専門的口腔清掃後のペリオチェック,BOPの変化を経日的に評価した結果,専門的口腔清掃後1週間で全員が両指標とも(-)となったが,16週後には程度の差こそあれ全症例ともに歯周病の臨床所見が再度現れた. 障害児は健常児に比べ齲蝕罹患者率は高く,その傾向はすでに1〜2歳から現れ,障害の種類による齲蝕罹患状況の比較では,1,2歳では障害問での差は認められないが,3,4歳には障害間の差が顕著となり,とくに精神遅滞が他の障害に比して顕著に高い齲蝕罹患性を示した. 歯科保健管理を3年間定期的に受けた障害児は,齲蝕経験者率,df歯数ともに同年齢の健常児,歯科保健管理を受けていない障害児に比べ顕著に低い値を示しており,発達障害児に対する低年齢から継続的な歯科保健管理の有効性が確認された. Down症児の低齲蝕罹患性の要因を知る目的で乳歯エナメル質の脱灰性をコンタクトマイクロラジオグラフィーを用いて健常児の乳歯エナメル質と比較した結果,エナメル質脱灰液による脱灰深度は健常児がDown症児に比べ深くなっていた.
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