配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2006年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2005年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2004年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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研究概要 |
1.歯周炎組織における脂質抗原提示分子CD1a,b,c,dの発現とCD1d分子拘束性に活性化されるNKT細胞の存在を免疫組織染色により検討した。その結果、歯周炎歯肉ではCD1a,b,cに比べてCD1dの発現が有意に高かった。CD1dは歯肉炎よりも歯周炎で有意に発現が高く、またインバリアントNKT細胞の浸潤の増加を伴っていた。CD1dはCD83陽性成熟樹状細胞にはほとんど発現しておらず、おもにCD19陽性B細胞に発現が認められ、B細胞がCD1d拘束性にNKT細胞を活性化している可能性が示唆された。 2.B細胞は歯周炎組織に豊富に存在するが、歯周炎歯肉組織ではB細胞遊走を誘導するケモカインCXCL13の発現とB細胞マーカーCD19の発現に正の相関が認められ、CXCL13の産生細胞は血管内皮細胞の他、濾胞樹状細胞であった。 3.健常者末梢血より樹立したNKT細胞ラインを自己の単球由来樹状細胞を抗原提示細胞として歯周病原性細菌LPSで刺激したところ、Porphyromonas gingivalisおよびActinobacillus actinomycetemcomitansのLPS刺激では増殖応答もサイトカインIFN-γ,IL-4の産生も誘導されなかった。 以上の結果より、歯周炎組織では樹状細胞やマクロファージなどのプロフェッショナル抗原提示細胞に加えてB細胞も抗原提示細胞として多面的に機能していること、歯周炎組織にはNKT細胞のように免疫応答を制御するいわゆる制御性細胞が存在していること、NKT細胞の活性化は樹状細胞と歯周病原性細菌LPSの組み合わせでは誘導されず、B細胞など別の抗原提示細胞との関係が必要かもしれないことが示唆された。歯周炎組織において感染が排除されず炎症が遷延化していることには、優勢なB細胞浸潤によるNKT細胞の活性化とそれに引き続く免疫応答の抑制が関わっているのかもしれない。
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