研究概要 |
目的 奥羽大学歯学部附属病院(センター)と一次歯科医療機関(拠点)との間で平成13年2月26日からリアルタイム双方向性の遠隔歯科診療支援システムを構築・運用し,歯科治療時のリスクの軽減,危険性の予測および偶発症の発生予防など安全性の確保が確認された。本システムはナローバンドであることからプログラム動作や画面の切替などアプリケーション稼働時の速度低下による不具合が生じ,端末から送信された医療情報と医用画像に基づいた診断に支障をきたすことが判明した。そこで,新たなネットワークの構築と医療情報と医用画像の診断によるシステムの実験的運用と今後の展望について検討した。 対象および方法 センターから約30km離れた端末拠点との間に仮想私設通信網(Internet Protocol Virtual Private Network ; IP-VPN)接続による広域通信網(WAN)の構築を試みた。構築に際しては,県内のどの地域が端末拠点になっても100%網羅できるナローバンド接続およびプライベートネットワークによるセキュアな通信を確保し,ランニングコストをリーズナブルにするためにFLET'S Group Access Lightを適用した。また,通信速度の向上とデータ暗号化を目的にメタフレームとサイボーズ【○!R】Office6を導入した。 成果 サイボーズ【○!R】Office6の導入により,拠点側から添付ファイルで送信した医療画像はセンター側で診断できる鮮明度を有し,ナローバントとは思えない円滑な受信速度が可能となった。 CPUセレクターにより,システムの切り替えが瞬時にでき,かつマルチモニタースプリッタでアナログRGB信号を液晶プロジェクターに分配・出力することにより,大画面への投影が可能となり,遠隔カンファレンス,卒前臨床実習および卒後歯科医師臨床研修の場において,教育支援ツールとして活用できるようになった。 今後,ネットワークの拡張を視野に入れたシステムの推進,電送費用など診療報酬としての経済的インセンティブの付与,画像診断専門医などの人材育成および海外へのアプリケーションの拡張を視野に入れながら,運用評価を重ねて行きたいと考えている。
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