研究概要 |
占領期に日本で発行された刊行物のすべてはGHQの検閲を受けた.占領期の1945年から1949年にかけて日本で出版された刊行物とその検閲結果は,米国メリーランド大学図書館ゴードン・W・プランゲ文庫(Gordon W.Prange Collection;以下,プランゲ文庫)に所蔵されている.本研究の目的は,プランゲ文庫に所蔵されている占領期の1945年から1949年にかけて日本で出版された刊行物のすべてとその検閲結果を分析し,GHQ/SCAP Recordsの公衆衛生福祉局の文書(PH&W Records)には表わされていない医療および看護に関わるGHQの方針と実態,および出版物の発行状況を明らかにすることである. プランゲ文庫の現地調査により,占領期の検閲史料(単行本,雑誌,それらの検閲文書)を分析し,以下のことを明らかにした. 1.公衆衛生福祉局(PH&W)は,看護系雑誌の発行において民間検閲支隊(CCD)とは異なる独自の検閲を行っていた. 2.検閲文書の分析よりGHQの関心は占領の段階(時期)により変化していた. 3.日本側には記録が残されていない看護系雑誌の発行数および発行頻度の実態. 4.占領期には日本看護協会の支部機関誌が発行されたが単発で終わっていた. 5.現存するプランゲ文庫図書と"Book Lists""Pamphlet Lists"(プランゲ文庫所蔵の図書及びパンフレットのリスト)が整合していない可能性がある.
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