研究概要 |
本研究は、小集団を対象にした出産教育における参加者のエンパワーメント支援の示唆を得るために、クラスの中で出産教育者がとらえるエンパワーメントとエンパワーメントを促す働きかけに焦点をあてた。まず、既存の研究から出産教育で用いられているエンパワーメントについて概念分析を行い、本研究で用いるエンパワーメントを「他者との相互作用を通じて、自分が望むような妊娠生活・出産を選択し、それに向けて自らの力を引き出し行動するプロセス」と定義した。そのうえで、施設で出産教育を行っている助産師6名に面接調査を行い、以下の知見が得られた。 1)出産クラスの中で参加者に生じているエンパワーメントには,【メンバー間の交流と刺激】,【湧き上がる感情】,【思考の活性化】,【周囲を巻き込みながら前進する】の4カテゴリーが抽出された。それぞれのカテゴリーに含まれる計18のサブカテゴリーは,より出産教育の文脈を反映しており,エンパワーメントをとらえる指標として活用しやすいことが示唆された。 2)出産クラスの中で参加者にエンパワーメントが起こるように,出産教育者は【揺らぎをおこす】働きかけを行っていた。その内容には<話しやすい場をつくる>,<感知する>,<投げかけて巻き込む>,<見守る>,<少しの後押し>,<個々の出産への価値づけ>の6つのサブカテゴリーが抽出された。 本研究で得られた知見は、出産教育者がエンパワーメントをとらえる視点を鋭敏にさせるであろう。また、エンパワーメント支援における一資料となると思われる。
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