研究概要 |
COPD患者130名から回答を得,107名を分析対象として,まず病気に対する認知と対処法に対する因子の構造について検討した。その結果,病気に対する認知については「息苦しさに対するネガティブ認知」「活動制限に対するネガティブ認知」を,対処(対処行動)については「積極的対応」「自己コントロール」「病気の再解釈」を下位因子とする二次因子モデルが,適合度の高いモデルとして構築された。 次いで,追跡調査(初回調査から12ヵ月後)を行い,病気に対するストレス認知(ネガティブな認知)と精神的健康との相互関係を2時点の反復測定データを用いて検討した。2時点の反復測定データによって,ストレス認知(ネガティブな認知)と精神的な健康度の因果関係を確認し,認知に着目して介入することが精神的健康の維持を図る介入を検討するうえで妥当であることを裏付けた。 さらに,対処(対処行動)をストレス認知(ネガティブな認知)と精神的健康との介在変数として位置づけ,対処の精神的健康に及ぼす効果を検討した。加えて,どのような対処パターンが精神的な健康を維持するのか,ストレス認知と各対処の交互作用を確認することで重症度によって対処の効果に違いはないのかを検討した。その結果,対処を多く用いているほど精神的な健康度が維持されていることが示された。対処パターンの検討からは,精神的健康を維持するには,患者が自信をもっているか(「自己コントロール」)や病気への意味づけはどうか(「病気の再解釈」)に着目して援助する必要性が示唆された。また,交互作用の検討からは,「病気の再解釈」にストレス認知を抑制する効果が示され,精神的な健康の維持を図るための介入として,病気への意味づけに着目し,介入していく必要性が示唆された。以上の結果は,COPD患者の精神的な健康の維持を図るために,ストレス認知(ネガティブな認知)に看護介入できることを示していた。
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