研究概要 |
1.研究目的 褥瘡再発を繰り返す脊髄損傷者の褥瘡予防への対処様相について明らかにし,脊髄損傷者の褥瘡予防に向けた看護に活用することである。 2.研究方法 (1)16年度は,2回以上褥瘡を発症し治療を受けている脊髄損傷者を対象に,褥瘡への対処と生活上の問題について面接調査を実施した。(2)17年度は,近畿東海地域在住の脊髄損傷者を対象に,褥瘡予防からその対処に関する7項目からなる独自の調査用紙を作成しアンケート調査を実施した。 3.研究結果及びまとめ (1)16年度の調査対象者は10名,平均年齢49.5歳であった。褥瘡への対処は,仕事を優先し悪化し受診したもの,回復期限を設け悪化し受診したもの,不快な身体症状の出現により受診したものなど,の3パターンであった。生活上の問題は9個のカテゴリーが見られ,その内容は身体機能の変化による問題や,気兼ねなどの心理的問題,.社会環境の不備などの要因であった。 (2)17年度の調査対象は500人で,アンケート回収数は280人,その内褥瘡既往者は243人で初発者は63人,再発者は180人,平均年齢は54.5歳であった。褥瘡再発に繋がる生活要因は,身体機能の変化に加え,褥瘡予防行動が不定期で,身の回りの生活動作に危険因子が多く,自己管理に必要な知識や技術も不十分である,などであった。 (3)脊髄損傷者の褥瘡再発者への看護をまとめると,褥瘡再発の生活要因について得られた知見を基に脊髄損傷者と共にみきわめること。そして脊髄損傷者自らが阻害要因を取り除き,身体・心理機能をよい状態に維持できるよう,自己管理に必要な知識や技術の習得に向けて指導内容や方法などの教育プログラムの充実を図ること。また適切な除圧用具や資源を選択管理活用できるように整備すると共に,関連機関との連携調整など,生活を支える人的・社会的環境を整えることが必要である。
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