研究概要 |
各種含嗽液を用いた含嗽後の唾液中の総綿菌数を含嗽前の1/1,000〜1/100程度減少させた状態を3時間以上維持できる含嗽(口腔ケア)方法を見出すことを目的として,7名(21歳の女性6名および64歳の男性1名)を対象に各種含嗽液の殺菌力とその持続時間,並びにそれらを組み合わせて用いた場合の効果を検討し,以下の成績を得た. 1.アズレン(0.04%)及び重曹水(2.0%)には唾液中の細菌数を減少させる殺菌力はほとんど認られず,イソジンガーグル(1.0%ポビドンヨード)の殺菌力を増強する効果も認められなかった. 2.オキシドール(3%)には,唾液中の細菌数を約1/10程度減少させる殺菌力があり,その殺菌力は約60分間持続したが,含嗽には若干の苦痛が感じられた。 3.オキシドールとイソジンの濃度をそれぞれ,0.1%に下げ,含嗽時間を各1分間とすることにより,含嗽実施者の苦痛を大幅に軽減させることが判明した。 4.0.1%の濃度では,オキシドールとイソジン共にそれぞれ単独の含嗽では唾液中の細菌数を殆ど減少させなかったが,両者を組み合わせる(イソジンでの含嗽前にオキドールで含嗽)ことにより,殺菌力が増大(唾液中の細菌数を含嗽前の1/100に減少)するだけでなく,菌数減少の状態を長時間(1/100減少状態を含嗽直後から90分間,1/10減少状態を含嗽90分後から150分後まで)持続させることが判明した。この殺菌効果と菌数減少状態の持続時間は高齢者が1.0%のイソジン単独で含嗽した場合の成績にほぼ匹敵するものであった。 5.本含嗽法の効果が65歳以上の高齢者においても発揮されるのか否か,また本法によって優位に減少する細菌は病原性菌なのか非病原性菌なのかについては高齢者を対象として確認する必要がある。
|