研究概要 |
本研究の目的はPhotovoiceの地区診断への応用可能性を明らかにすることである。 1)アセスメントするテーマにより映像化の難易に違いがあるか、対象とする集団の特性により、必要な工夫に違いがあるか。 2)Photovoiceを他のアプローチと組み合わせて用い、Photovoiceの信頼性・妥当性、手法としての可能性を明らかにすること。 対象地域として島嶼部4集落を選定した。対象者は,小学生とその保護者を主とする成人とした。データ収集方法は、(1)物語のついた写真の収集、(2)撮影された写真のグループ討議である。グループ討議には研究者が外部ファシリテーターとして参加した。尚、学内倫理審査委員会に実施計画を諮り,非該当と判定された。 アクションリサーチの結果,有効性については、Photovoiceの3段階の目標の達成度で評価したが、一部課題に取り組みつつある段階(第2段階)の集落もあったが、意見の共有化を図れたにすぎない段階(第1段階)の集落もあった。 課題1のアセスメントするテーマについては、学童の場合、テーマにより映像化の難易に違いがあったが、成人の場合は、地域診断による保健計画に結び付けられるテーマも十分可能であった。集団により違いがあったが、どのような特性による差異なのかは解明できなかった。 課題2については、Photovoiceをグループ討議に用いて、4集落で検討した。 家庭学級、老人クラブ、公民館講座にて、Community Meetingを、収集したPhotovoiceを用いて行なった。研究者によるWindshield Surveyと、住民のPhotovoiceでのグループ討議の結果は近似しており、表面的妥当性が一部実証された。Photovoiceは地区診断方法論の開発・発展に貢献するものと考える。
|