研究課題/領域番号 |
16600009
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
非営利・共同組織
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
出口 正之 国立民族学博物館, 文化資源研究センター, 教授 (90272799)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
2005年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2004年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
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キーワード | 言政学 / 優性言語 / 劣性言語 / 言語価 / 基軸言語 / 第三者言語 / シビル・ソサエティ / NGO / 劣勢言語 / ハブ言語 / NPO |
研究概要 |
本研究は、研究代表者のオリジナル理論である、「言政学」を理論・実証両面から発展させたものである。ここで言政学とは複数の「言語」が使用可能な状況の中で、1つ又は複数の「言語」を取引言語として選択する前後に生じる、政治的な影響を考察する学際的科学、と定義する。 科研期間中に実証研究を踏まえて、「言政学」の定義を明確化し、第三者言語、優性言語、劣性言語など19にも及ぶ基礎概念を生み出したことは大きな成果だった。とりわけ、化学の原子価に近い概念である"NGO Language Value"(NLV)(NGOにおける言語価)という「NGOが通訳なしであらゆる状況でコミュニケーション可能な言語の数」によるモデル化により、二カ国間のNGOの言政学パターン、三ヶ国間の言政学パターン、4力国間以上の言政学パターンについての理論研究に成功した。その結果、4か国以上の場合には、Dominant Third Party Language(優性第三者言語),Co-existent languages with third party languages(CDTs)(優性第三者言語による併存)に事実上収斂せざるをえないことを明らかにした。また、実証研究によって、日本における国際NGO、国際協力NGOの第三者言語は圧倒的に英語が多いことを明らかにした上で、二番目に多い第三者言語が、エスペラントである事実を明らかにした。 インターネット時代における言語選択の問題を取り上げた本研究は、国外で大きな反響を呼び、とりわけ、多言語国家である、インドにおける国際学会での発表が、予想を超える反応だったことは、研究代表者にも望外のことであった。その結果、この研究が認められ、インドの伝統あるマイソール大学のVivekananda Institute for Leadership Development(VILDA)の国際学術諮問委員に任命された。また、平成17年1月1日からは、2年間の任期で、89カ国に会員を持つ国際NPO・NGO学会(本部:米国ジョンズ・ホプキンス大学内)の会長に就任した。日本の研究者がこれほど国際的な学術組織の頂点に立つことは極めて稀なことである。したがって、世界の研究者に日本人によるオリジナル理論が高く評価されたものであると言える。
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