研究概要 |
本研究では従来現象的な議論に終始していた前庭電気刺激を人工感覚を生成する感覚インタフェースとして応用するための基礎研究を行った.このために平成16年度は前庭感覚刺激装置の設計・開発とその定量的な評価を被験者を用いた心理物理的な計測実験を通して行った.視覚的なフロー刺激と前庭電気刺激による加速度感を身体の動揺計測を用いて心理物理的に客観評価することで,バーチャルリアリティ環境下での同刺激方式の効果を測定・評価した.また同様の環境下において視覚によって誘導される運動感覚の逆転がおこる現象について,視覚的相対運動の多義性を前庭電気刺激が抑制しうることを実験的に確認した.さらに当該技術のアプリケーション面での応用方法を模索・開発し,実際的な応用事例における評価実験を行った.特に前庭電気刺激を音楽のテンポと同期させることによって「音楽に合わせて自分や世界が揺れて見える感覚を楽しむ」という新感覚の音楽エンタテイメントを発表・アリティ環境下での同刺激方式の効果を測定・評価した.また同様の環境下において視覚によって誘導される運動感覚の逆転がおこる現象について,視覚的相対運動の多義性を前庭電気刺激が抑制しうることを実験的に確認した.さらに当該技術のアプリケーション面での応用方法を模索・開発し,実際的な応用事例における評価実験を行った.特に前庭電気刺激を音楽のテンポと同期させることによって「音楽に合わせて自分や世界が揺れて見える感覚を楽しむ」という新感覚の音楽エンタテイメントを発表・実演し,多くの体験者の好評を博した. これらの成果に基づき,平成17年度には前庭電気刺激による歩行誘導とバーチャルリアリティ環境下での同刺激方式の効果,さらに音楽への同期刺激体験デモ展示発表し,2000人近い体験者から筆記応答データを収集することができた.また,同様の環境下において視覚によって誘導される運動感覚の逆転がおこる現象について,視覚的相対運動の多義性を前庭電気刺激が抑制しうることを実験的に確認した.さらに視界の回転運動現象についての心理物理的な計測実験を行い,眼球の回旋運動としての前庭動眼反射との因果関係について一定の知見を得ることが出来た. 以上の成果によって前庭電気刺激による人工感覚インタフェースの設計論の基礎となる定量的知見を得ることが出来た.これらのデータや考察を元に今後さらに多様な応用に向けた前庭電気刺激による人工感覚インタフェースが開発されていくものと期待される.
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