研究概要 |
1.簡易インスリン抵抗性評価法の構築 耐糖能正常40例、境界型耐糖能9例、2型糖尿病251例の計300例にて正常血糖高インスリンクランプ法によるインスリン抵抗性指数(Clamp IR)を測定し、HOMA-IR、アディポネクチン、fetuin-AのClamp IRとの関連性、推定式構築を重回帰モデル等により解析した。HOMA-IR、BMI、1/Cre、男性、HDL、FFAはClamp IRの独立した説明因子であり、このモデルの寄与率は0.496であった。FetuinAは、HOMA-IRと弱い正相関(r=0.197)、BMIで調整した重回帰分析においてもHOMA-IRの独立した寄与因子(β=0.197)であった。(Diabetes Care 29:468,2006)。多施設データとの共有により、HOMA-IR・アディポネクチンの新しい指数の有用性を示した(Diabetes Res Clin Pract,2007,In press)。 2.動脈硬化症の発症進展予知 アディポネクチンおよびFetuinAは、頚動脈硬化症のstiffness parameterと関連し独立した予測因子であった(Metabolism 55:587-592,2006)(Clin Endocrinol(Oxf)66:246-250,2007)。ピオグリタゾン投与後のアディポネクチン上昇はstiffness parameterを改善した(Metabolism 55;996-1001,2006)。 頸動脈硬化症の年間進展度ΔIMT(mm/year)は、HOMA-IRおよびClamp IRと弱い負相関を認めたが、Stiffness parameterの進展率ΔST(year)に対して、HOMA-IRやClamp IRは独立した影響は認められなかった。重回帰分析ではインスリン抵抗性の独立した影響は認めなかった。
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