研究課題
基盤研究(C)
IgEトランスジェニックマウスあるいはIgEで受動感作した正常マウスの耳介皮内に対応抗原TNP-OVAを投与すると、典型的な2峰性の即時型耳介腫脹に引き続いて、2日目より激しい細胞浸潤(好酸球を含む)を伴う強い皮膚腫脹が出現し、投与抗原量に応じて1-4週間持続した。この第3相耳介腫脹はマスト細胞ならびにT細胞非依存的であり、高親和性IgEレセプターFcεRI欠損マウスでは誘導されなかった。そこで、FcεRI欠損マウスに正常マウスの骨髄細胞を移入したところ、第3相耳介腫脹が再構築された。さらに、骨髄の各細胞分画を用いて細胞移入実験をおこなった結果、NK細胞マーカーDX5陽性分画を移入した時のみ、第3相耳介腫脹が再構築できた。DX5陽性骨髄細胞の約20%がFcεRIを発現し、かつ分葉核を有していた。さらに、電子顕微鏡解析から、これらFcεRI陽性DX5陽性骨髄細胞は分泌顆粒を有する好塩基球であることが判明した。第3相耳介腫脹部位に浸潤している細胞は好酸球(約40%)と好中球(約15%)が主で、好塩基球はわずか1-2%を占めるに過ぎないことがわかった。好塩基球はマスト細胞との共通点が多く、かつ末梢血白血球のわずか0.5%を占めるに過ぎない最小細胞集団であるため、これまでマスト細胞の陰に隠れた脇役と考えられており、好塩基球に特有な機能は知られていなかった。本研究により、即時型アレルギー反応にはマウス細胞が必須であるのに対して、慢性型アレルギー炎症反応には好塩基球が必須であることが判明した。すなわち、好塩基球がin vivoにおいて、マウス細胞とは明らかに異なる機能を果たしていることを初めて明確に示すことができた。さらに好塩基球が主役を演じる新たな慢性アレルギー炎症誘発機構の存在を明らかにしたことにより、今後、慢性アレルギー疾患に対する新規治療法の開発が期待される。
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