研究課題/領域番号 |
16616005
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
アレルギー
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研究機関 | 岐阜薬科大学 |
研究代表者 |
田中 宏幸 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教授 (70264695)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2006年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2005年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2004年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 気管支喘息 / 好酸球 / リモデリング / アレルギー / 組織修復 / 線維化 |
研究概要 |
本研究では、慢性的なアレルギー性気道炎症によって生ずる気道組織再構築における好酸球由来TGF-β1の意義を明らかにすることを目的とし、3力年にわたり、以下の検討を行った。 初年度は、卵白アルブミン(OA)を用いた喘息モデルマウスに抗TGF-β1抗体を投与し、その影響を検討した。その結果、抗TGF-β1抗体を抗原曝露期間中全期間投与した場合、気道過敏性には影響を及ぼさなかったが、BALF中好酸球数ならびに血清中抗原特異的IgG1値は投与用量に依存して有意に増加した。一方、基底膜下の線維化は用量依存的かつ有意に抑制された。また、投与期間を前半と後半に分けて投与した場合、前半投与では気道内好酸球数・血清中抗原特異的IgG1値の有意な上昇が観察されたが、基底膜下の線維化については顕著な影響が認められなかった。これに対し、後半投与は、気道炎症ならびに血清中免疫グロブリン量には影響を及ぼさなかったが、基底膜下の線維化を用量依存的かつ有意に抑制した。以上の成績より、抗原長期曝露により産生されるTGF-β1は炎症反応の終焉において2面性を有すると思われる。 次年度は、昨年度の成績の普遍性を確認する目的で、アジュバントを使用することなく、ダニ抗原をマウス気管内に反復投与することにより、アトピー型喘息モデルの作製および気道リモデリング形成の機序を検討した。ダニ抗原(Dermatophagoides farinae)をマウスの気管内に投与することにより、その投与量に依存した気道過敏性、気道内好酸球増多、気道上皮における杯細胞の過増生・肥厚ならびに基底膜下の線維化形成が観察された。これらの変化は、いずれもIL-4受容体α鎖遺伝子欠損マウスでは観察されなかったことから、Th2依存的な反応であることが明らかとなった。本年度はダニ抗原モデルで観察された基底膜下の線維化形成が好酸球由来TGF-R1に依存するか否かを、IL-4、IL-5受容体α鎖あるいはIL-13KOマウスを用いて検討した。その結果、ダニ抗原によって誘発される喘息様病態形成はTh2依存性であるが、特に気道過敏性の発症にはIL-4/IL-13の経路が、好酸球増多にはIL-5が、BALF中TGF-β1産生ならびに気道リモデリング形成にはIL-13が重要であることが明らかとなった。また、従来のOAモデルとは異なり、好酸球由来のTGF-β1の関与は小さく、むしろ好酸球以外の細胞からIL-13依存的に産生されるであろうTGF-β1が重要であることが推察された。 これらの知見は、喘息におけるTGF-β1の意義はもとより、抗原性の違いや環境要因によって病態形成のメカニズムが異なる可能性を示唆しており、治療的な観点からも重要であると思われる。
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