研究概要 |
アレルゲン活性およびシステインプロテアーゼ活性を保持した高純度の組換ダニ主要グループ1アレルゲン(rDer p 1,rDer f 1)を調製して(Takai et al.,J Allergy Clin Immunol,2005;BBRC,2005)、免疫応答、組織バリア破壊誘導、細胞刺激活性のシステインプロテアーゼ活性依存性を解析し、以下の新知見を得た。 1.マウス投与実験において、不可逆的システインプロテアーゼ阻害剤処理によりrDer p 1のIgEおよびlgG誘導能は顕著に減弱する(Kikuchi et al.,J Immunol,2006)。 2.rDer f 1のプロテアーゼ活性はマウス皮膚バリア破壊を誘導する(Nakamura et al.,J Invest Dermatol,2006)。 3.rDer p 1およびrDerf1はヒト培養ケラチノサイト刺激活性を有し、皮膚由来システインプロテアーゼインヒビターcystatin Aによってこの活性は阻止される(Kab et al.,J Allergy Clin Immunol,2005)。気道上皮細胞が誘導的に発現するSCCA-2はrDer p 1およびrDer f 1の酵素活性を阻害する(Sakata et al.,J Biol Chem,2004;BBRC,2004)。 以上より、ダニ主要グループ1アレルゲンの酵素活性は、少なくとも3つの方法、すなわち、組織バリア破壊による抗原侵入の促進、ケラチノサイトや気道上皮細胞の活性化、免疫系の修飾、によってlgE産生に至る感作に関与することが示唆された。生体はプロテアーゼインヒビターによってこれに拮抗するが、後天的あるいは先天的にこの防御システムに機能低下が起きた場合にはアレルギー発症要因となる可能性がある。
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