研究分担者 |
磯辺 雅彦 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (20114374)
高山 知司 京都大学, 防災研究所, 教授 (60273520)
佐藤 愼司 東京大学, 工学系研究科, 教授 (90170753)
清水 琢三 五洋建設, 東北支店建設部, 部長(研究職)
藤吉 洋一郎 大妻女子大学, 文学部, 教授 (10348477)
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研究概要 |
この課題は,明石市大蔵海岸で発生した人工海岸での陥没事故による女児死亡事件に端を発している.改訂された「海岸法」では,海岸の機能が防護,利用,環境の3つにまたがることが示されているが,後2者の具体的な内容については明らかにされてこなかった.そこで,とくに利用者の安全性に関しては関係者の議論を踏まえて早急にガイドラインをまとめる必要があった.そこで,海岸工学研究者,行政担当者,マスメディア関係者,弁護士,安全問題専門家からなる委員会を土木学会内に設けて検討を行った.その結果,海岸・港湾施設の設計に当っては利用者の安全性をとくに考慮しなければならないことを積極的に打ち出す必要があることから,「海岸・港湾築造物設計基準」(国土交通省)にそのことを明言した項を新たに設置することになった.この問題に関係して,防波堤などの立ち入り禁止の問題や波浪注意報下における釣り人などの安全性確保の問題も検討され,行政からの危険の明示のほかに,自己責任の原則の徹底が必要なことも確認できた.さらに,海水浴場の安全性に関して,学校教育における児童,生徒の遊泳上の安全性の問題が考慮されていないことも指摘され,関連事項として改善が図られるべきとの結論を得た.これらの成果は報告書に印刷され,2004年11月に鳥羽で開催された海岸工学講演会場に参集した関係者に配布されたほか,土木学会のホームページに全文掲載され,利用の便を図った.この活動によって,海岸・港湾施設の利用者の安全性確保が法的な観点からも必要な事項として認知されることになった.
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