研究分担者 |
塩田 清二 昭和大学, 医学部, 教授 (80102375)
安田 佳子 近畿大学, 医学部, 教授 (10025629)
鳥越 甲順 東海大学, 医学部, 教授 (50126603)
小林 繁 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (10118078)
洲崎 悦子 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (10274052)
|
研究概要 |
医学部・歯学部における解剖学教育の現状と解剖学教授の意見をアンケート調査した。解剖学教育は2年生を中心に行われている。医学部ではマクロ・ミクロを分けた授業が多く,半数で臨床解剖学が導入されている。チュートリアルは80%の医学部で導入されているものの,解剖学への導入は30%にすぎない。チュートリアル担当者はチュートリアル教育に関して肯定的である者が多く,非担当者よりも,その効果を認めているが,実施には周到な準備が必要である。一方,歯学部ではマクロとミクロの統合が多い。臨床解剖学は35%で導入されているが,チュートリアルの導入は少ない。コアカリキュラムは医学・歯学教育のMinimum Requirementを明確化したものとして評価されているが,同時に「学生の知識が断片的である傾向が強まった」,「臨床を学んでいくための前段階的要素が強まり,解剖学の学問的意味合いが希薄になった」とも感じている。共用試験は「医学・歯学教育の中間時点で,学生の到達度を全国レベルで判定できる」ものの,学生が「論述能力を身につけることを阻害する傾向がある」,「共用試験に出ないような種類の勉強をしなくなる」と心配されている。ほとんどの教員は学生による授業評価を受けており,「学生のレスポンスをえて,授業を改善するために役立つ」が,「きちんと勉強している学生の評価が正確に反映されていない」,「低学年で履修するために,正しく評価できるだけに成長していない学生に評価される」と感じている。また,「点数化された評価よりも多肢選択や自由記述が授業改善に役立つ」とも考えている。授業評価にあたっては,設問や実施時期を慎重に吟味すべきで,授業改善以外の目的に直接に利用するべきではなかろう。 これらの結果を踏まえ,解剖学教育のさらなる改善に資するための提言を行った。
|