| 研究概要 |
モバイルエージェントは,ネットワーク上のコンピュータを移動しつつ,ユーザの代理で処理を行うプログラムである.ここで,モバイルエージェントにおける脅威は,(i)悪意あるエージェントが,ホストを攻撃する,(ii)悪意あるホストが,エージェントを攻撃する,といった2種類に大きく分類できる.攻撃(i)は,ウイルス等のようにホストに対して被害をなすものであり,その対策については多くの従来研究が存在する.一方,攻撃(ii)は,悪意あるホストが,エージェントを改ざんしたり,秘密データを盗み見たりするものである.このような攻撃については,有効な解決策が未だに存在しない.そこで本研究では,モバイルエージェントのセキュリティ確保のため,攻撃(ii)の対策手法を確立することを目的とする.前年度(平成16年度)においては,secure function evaluationを効率よく利用する方式を研究開発した.さらに,本年度は,難読化によってモバイルエージェントを耐タンパー化する方法について研究した.ここで,従来の難読化手法においては,その解読の困難さに理論的な根拠をもたないものがほとんどであったため,その効果について疑問が残るものが多かった.本研究においては,ソフトウェアの解析手法の2分類,すなわち,静的・動的解析それぞれについて,難読化されたプログラムの解析の困難さに一定の理論的根拠を与えることのできる手法を提案した.さらに,本年度は,モバイルエージェントに応用可能な,効率のよいグループ署名方式について研究を行い,高い評価を得た.
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