研究課題/領域番号 |
16650042
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
感性情報学・ソフトコンピューティング
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
津田 一郎 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10207384)
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研究分担者 |
行木 孝夫 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40271712)
藤井 宏 京都産業大学, 工学部, 教授 (90065839)
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研究期間 (年度) |
2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2004年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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キーワード | 興奮性GABA / カオス的遍歴 / 遍歴ダイナミックス / アトラクターダイナミックス / ニューラルネットワーク / 連想記憶モデル |
研究概要 |
近年、抑制性ニューロンの典型であると考えられていたGABAニューロンに興奮性の作用があることが数々の実験データによって示されている。いわゆる興奮性GABAは二つのタイプがある。一つは従来から知られていた未成熟脳における興奮性GABAニューロンの存在に関するものである。しかし、成熟脳においてもGABAニューロンは興奮性になることがあるのはいかなる機構によるのか、またその機能はいかなるものであるかについてはまだ十分な理解が得られていない。 申請者たちはその分子機構によらない巨視的な機能に着目し、GABAの作用によってニューラルネットのダイナミックスの変化を連想記憶型のモデルに関して調べた。その結果機能に関する一つの仮説を提出した。GABAが抑制性に作用するときは連想は動的になり、遍歴的なダイナミックスが生成されるが、GABAが興奮性に変化したときにアトラクターダイナミックスが現れ連想状態は固定化する。ダイナミックスはカオス的であるがそれがミルナーアトラクター崩壊後の記憶痕跡を経巡る型のカオス的遍歴であるかどうかは決定できていない。その機能として次の仮説を提案した。脳の高次情報であるカテゴリー情報や注意の情報がトップダウン的にGABAニューロンに降りてくると、GABAニューロンが錐体細胞層を抑制的に刺激することで記憶のダイナミックスはいったんはダイナミックになり記憶間をサーチする状態になる。次にGABAニューロンが錐体細胞層を興奮的に刺激することによって記憶ダイナミックスはアトラクター型に変化し急速に一つの記憶状態に収束する。このとき、この記憶状態に対するバイアスがあると他の記憶状態の実現確率は低下し、その記憶状態の出現確率を格段に上げることが可能になる。このように興奮性GABAは記憶ダイナミックスの状況に依存した効果的な変化に中心的な役割を果たし得るという仮説を提案した。
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