研究課題/領域番号 |
16650049
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
感性情報学・ソフトコンピューティング
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研究機関 | (財)国際科学振興財団 |
研究代表者 |
河合 徳枝 (財)国際科学振興財団, 研究開発部, 主任研究員 (50261128)
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研究分担者 |
大橋 力 (財)国際科学振興財団, 研究開発部, 理事・主任研究員 (90015652)
八木 玲子 国立精神・神経センター, 神経研究所・疾病研究第七部, 研究員 (80281591)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2005年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 環境音 / 音響周波数スペクトル / 非定常音響構造 / ストレス / 犯罪 / 暴力 / 生理的指標 |
研究概要 |
家庭内・学校内暴力あるいは駅や列車内をはじめとする公共空間での衝動的な犯罪や暴力が著しく増加している。私たちは情報環墳学の立場から、すでに人工性の高いある種の構造をもった音が衝動的行動やうつ状態に関係する脳の基幹部(視床、視床下部、脳幹)の血流を低下させることや、その反対に、自然性の高い環境音やそうした環境音と音構造の近似した楽器音などが、人間を生理的に快適な状態に導くことをいくつかの生理指標で発見している。従来の家庭環境、教育環境、病的負因といった特別な背景を原因とする犯罪・暴力でなく、広く一般的に人々がきれやすく、犯罪・暴力に関わる現象について、個人的な要因だけでなく、現代人一般の精神的なベースラインすなわち緊張や不安状態の水準が高まっている可能性を無視すべきではない。本研究では、犯罪・暴力行動と人間にとって時間空間的にもっとも大きな情報環境要因のひとつである音環境との関係について検討を試みた。 いくつかの音環境を高性能の収録装置を開発して、その構造を分析手法についても独自に開発しながら解析した。例えば東京の繁華街・住宅地域の環境音はほとんどすべて人工音であり、周波数構造は、10kHz程度まででそれ以上の高周波成分は皆無であり、しかも定常的で音響振動構造の複雑な変化は見られなかった。一方、音環境としてもっとも自然性が高く安全性が高い人類の遺伝子が育まれた熱帯雨林の環境音は、150kHz以上に及ぶ超高周波成分を豊富に含み、非定常で周波数構造の形状が微小時間内で多様に変化し、複雑・変容性の大きい音響振動構造をもっていた。 人工音のみの環境音と熱帯雨林の環境音との中に被験者を一定時間おくと、人工音環境に比べて、熱帯雨林の音環境では、脳波α波が増加し、血中、尿中のアドレナリン、コルチゾールの濃度が減少した。音環境の違いは、潜在的な緊張レベル、不安レベルに影響を及ぼし、人間の精神生理的ベースラインに影響を与えていることが見出された。安全・安心な音環境の検討と造成が犯罪・暴力の抑止にも貢献できる可能性が示唆された。
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