研究課題/領域番号 |
16650071
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
幸田 和久 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (40334388)
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研究分担者 |
松田 恵子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40383765)
柚崎 通介 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40365226)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2005年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2004年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | レンチウイルス・ベクター / シンドビス・ウイルスベクター / 小脳 / プルキンエ細胞 / シナプス可塑性 / PDZドメイン / レトロウイルス・ベクター / 顆粒細胞 / クモ膜下腔 |
研究概要 |
未知の遺伝子機能を解明するためにウイルスベクターを利用する我々の方略は以下の通りである。目的とする遺伝子の欠損マウスにその遺伝子の変異体を発現させる。これによって、欠損マウスの異常な表現型が回復しなければ、その機能に変異部位が重要な役割を担っていることになる。我々は目的遺伝子としたデルタ2グルタミン酸受容体(δ2)、は小脳平行線維・プルキンエ細胞間のシナプス形成と可塑性に重要な役割を果たしていることがδ2受容体欠損マウスの研究から明らかだが、δ2受容体がグルタミン酸によるチャネル活性を持たないため、その分子としての機能は不明である。まず、レンチウイルスベクターのクモ膜下腔への投与によって、マウス及びラット小脳プルキンエ細胞にGFPをかなり特異的に導入する系を確立した。このベクターを用いて、δ2受容体を発現させようとしたところ、ウイルスベクターの力価が上がらず、個体に投与しても発現が得られなかった。分子量のほぼ等しい、2型グルタミン酸受容体の発現は得られているので、これはδ2受容体特有の現象と考えられる。そこで、我々は、レンチウイルスベクターに代えて、シンドビスウイルスベクターを用いることにした。δ2受容体欠損マウスのプルキンエ細胞に野生型δ2受容体を発現させるとδ2受容体欠損マウスで見られる平行線維-プルキンエ細胞間シナプスの長期抑圧(LTD)の障害が回復した。δ2受容体の最C末端にはPDZドメインがあるが、これを含む7アミノ酸残基の欠失変異体を同プルキンエ細胞に発現させた場合は、LTDは存在するが野生型δ2受容体に比べ、有意に減弱していた。欠損させた7残基のアミノ酸を正常プルキンエ細胞に灌流しても同様の結果が得られた。以上からLTDが正常に生じるためにはδ2受容体がPDZドメインを介して他の分子と相互作用をしていることが必要であることが明らかになった(投稿準備中)。
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