研究課題/領域番号 |
16650076
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経解剖学・神経病理学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
岡澤 均 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (50261996)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2005年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2004年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 転写 / ポリグルタミン / 細胞死 / 神経 / YAP / p73 / 神経変性 / 神経細胞死 / 変性 / アポトーシス |
研究概要 |
ポリグルタミン病においては転写障害が重要なpathomechanismであることが知られている。本研究課題では、この事実を背景に転写障害が生じた場合に、どのような変化が神経細胞において生じるかを、形態学、生化学、分子生物学的な手法を用いて、総合的に解析した。 先ず、RNAポリメラーゼIIの特異的な阻害剤として知られるアルファアマニチンを初代培養神経細胞の培地に加え生存曲線を検討した。結果としてアルファアマニチンによる転写抑制が神経細胞に極めて緩慢な細胞死を生じさせることが明らかになった。形態学的には、アポトーシス、ネクローシス、あるいはオートファジーの特徴は見られなかった。すなわち、核クロマチンの濃縮、断片化はなくDNA fragmentationもなかった。カスパーゼ阻害薬もこの細胞死には効果がなかった。ネクローシスのようなミトコンドリア膨張や細胞膜の破たんなどの形態変化もなく、変わりに核周囲の細胞質に空胞の形成が認められた。この空胞はマーカー蛋白の検索から小胞体であると推定された。 次に、分子生物学的検索としてジーンチップを用いて、この細胞死に特異的な発現変化を示す分子をさがした。結果としてYAPがその候補として見い出された。驚いたことに、YAPには神経細胞に特異的に発現するアイソフォームがあり、これは細胞死を促進するp73の機能を阻害することがわかった。アポトーシスでは一般型のYAPがp73と協調して細胞死を促進するのに対して、本研究で発見した転写抑制性細胞死ではYAPアイソフォームが発現して細胞死を遅らせていることが想像された。 以上の解析から、この細胞死を新しい典型と考えTRIAD(TRANSCRIPTIONAL REPRESSION-INDUCED DEATH OF NEURONS)と命名し、JCBに報告した。
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