研究課題/領域番号 |
16650090
|
研究種目 |
萌芽研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
|
研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
高木 都 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00033358)
|
研究分担者 |
三澤 裕美 奈良県立医科大学, 医学部, 教務職員 (50281275)
中川 正 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (20372857)
中山 晋介 名古屋大学, 大学院医学研究科, 助教授 (30192230)
中島 祥介 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00142381)
|
研究期間 (年度) |
2004 – 2005
|
研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
|
配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2005年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2004年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
|
キーワード | 胚性幹細胞 / 腸管 / 壁内神経系 / BDNF / neurofilament / hanging drop culture / embryoid body / 外胚葉 / ペースメーカー細胞 / 壁内神経細胞 / 蠕動運動 / 発生分化 |
研究概要 |
まず、マウス胚性幹細胞から腸管様細胞塊(ES腸管)を作った。特別の分化誘導因子を加えない培地でのハンギングドロップ培養によるES腸管では、腸壁内神経細胞はほとんど存在しない。すなわち、内胚葉由来のマーカータンパク、サイトケラチン(Ker)、トレフォイルファクター3(TFF3)、カルシノエンブリオニックアンチジェン(CEA)は免疫染色陽性であり、中胚葉由来のマーカータンパク、スムーズマッスルアクチン(SMA)やc-kitは確実に免疫染色陽性であったが、神経の分化してくる外胚葉のマーカー、S-100は免疫染色陽性であったが、p75(neurotrophin receptor ; NTR)、c-retは陰性であった。そこで、神経栄養因子として、neurogrowth factor(NGF)、glia cell line-derived neurotrophic factor(GDNF)、brain-derived neurotrophic factor(BDNF)等のうち腸管の壁内神経系の発生に最も有望と思われるBDNFをEB培養時に作用させると、神経堤細胞の形成を介して壁内神経系が分化誘導されるという結果が得られた(新規日本特許出願済;出願番号:特願2005-59547)。すなわち、BDNFの受容体であるtrk proto-oncogene(trkB)はEBと付着培養14-21日を通して発現が確認され、c-retはEBと付着培養14日目で発現が確認できた。一方、ニューロフィラメント(neurofilament ; NF)の免疫染色を行うと14-21日目でNF陽性の神経節や神経線維の分化を確認できた。ICCのマーカーであるc-kitについてはBDNFの処理、非処理に関わらず14-21日目で陽性であった。trkBおよびc-retはマウス胚からのin vivoにおける正常な壁内神経系の発生時に発現する。従ってEBからのin vitro分化において、まずBDNFがtrkBに作用し、神経堤を形成し、神経堤由来の細胞からNF陽性の神経節や神経線維(壁内神経系)が分化誘導されたと考えられる。in vitroの系において、in vivoにおける正常な壁内神経系の発生と同様な経路で、BDNFはES腸管に壁内神経系を形成したと思われる。今後はGDNFやNT-3によってBDNFと同じ結果が得られるかどうか検討する予定である。
|