研究概要 |
本研究は光を駆動エネルギとしてマイクロからナノメートルオーダの物体のマニピュレータを開発することを目的とした.光ファイバーの端面から光を入射すると,光ファイバーカンチレバーがフォトサーマル効果によって駆動する.これは光ファイバ先端を斜めに研磨し黒く塗装して,この部分で光によって局所的に温度変化による熱膨張が発生することによりトラッピングのための爪が駆動する現象である.一般に,熱エネルギを用いるアクチュエータは熱伝導,放熱に時間がかかるため,動作速度が遅いと考えられる.しかし,微小な環境ではスケール則が成り立つため体積に対して表面積を大きく1秒以下の高速駆動が可能となった.実際に光ファイバーカンチレバーの製作技術の検討・試作を行った.ミクロな世界においては物体間の相互の関係が単純にスケーリングで成り立たないことが多いので,必要に応じて新たな理論付けをしたうえで,シミュレーションからも検討を行った.以上によって得られた結果から最適な光ファイバーカンチレバーを製作した上で,マイクロマニピュレータの製作を行い,実験的な基本特性を得た.さらに,光ファイバカンチレバーを3次元マイクロ・マニピュレーションシステムとして構築した.本年度はマイクロ・ナノマニュピレータでの駆動にあわせて光を照射するため,走査する光の高精度の位置決めのためのマイクロスコープに電動ステージを取りつけ自動化操作も可能となった.以上,ソフトウエアの開発も含めて行い,実際のバイオ・生体サンプルを把持して3次元操作や立体構造物の製作を可能とした.
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