研究概要 |
近年,ポリ-N-インプロピルアクリルアミドなど,温度応答性高分子の生医学材料への応用が注目されている。生体内で用いる材料には,目的達成後生体内で分解を受け,その分解物が代謝・吸収される生体内分解吸収性高分子であることが望ましいが,これまで報告されている温度応答性量分子の多くは非生体内分解性である。本研究の目的は,生体内で完全に加水分解される温度応答性高分子を合成し,バイオマテリアルとして応用することである。昨年度までに,グリコール酸とアスパラギン酸のポリエステルアミド交互共重合体であるポリデプシペプチド(Poly[Glc-Asp])の側鎖にイソプロピルアミド基を導入したPoly[Glc-Asn(N-isopropyl)]を合成し,温度応答性と生分解性を有していること,および,細胞毒性を有していないことを確認した。今年度は,側鎖に導入する基として,ヒドロキシアルキルアミンを用いて,そのアルキル鎖長と温度応答性との関係について検討した。既に報告した方法に従って合成したpoly[Glc-Asp]を用い,溶媒にDMF,縮合剤にDCC用いて,4-hydroxybutylamineおよび5-hydroxypentylamineとカップリング反応を行い,目的物であるポリデプシペプチドPoly[Glc-Asn(4-hydroxybutyl)],Poly[Glc-Asn(5-hydroxypentyl)]を得た。同定は^IHNMR, GPCによって行い,導入率はどちらも100%であった。得られたポリデプシペプチドの純水中での透過率測定を行ったところPoly[Glc-Asn(4-hydroxybutyl)]は温度応答性を示さなかったが,Poly[Glc-Asn(5-hydroxypentyl)1は25℃に曇点を示し,温度応答性を有していることが確認された。
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