研究概要 |
本年度は,ロボットアームの動作評価をおこなう方針に基づき,初年度(平成16年度)に取得された高齢者および若年者の動作特性を用いて動作する双腕ロボットアームに対する,高齢者群と若年者群による評価実験結果の分析までを実施した.一般的な人間の作業領域は,最大作業域と通常作業域に分けられる.本研究で対象としている机上を介しての人間同士の物体受け渡し動作においては,最大作業域内で共同作業をおこなうことが自然である.そこで,向かい合った人間の最大作業域が重なる領域を本研究における作業領域とした.この作業領域内では高齢者が若年者よりも利き腕である右腕を使用する領域が広くなっている特性が明らかになった.この特性に着目して,この差異が顕著に表れる位置を特定して物体を置き,高齢者の特性,若年者の特性およびそのどちらでもない一般的にロボットに用いられる特性それぞれで右腕と左腕に相当するロボットアームを駆動させた.すでに抽出されているロボットの動作に関するSD基本尺度を用いて作成された評価用アンケート調査用紙に,高齢者群と若年者群がこれらのロボットアーム動作に対する評価をおこなった.当初,高齢者群および若年者群はそれぞれ自らの群の特性を支持すると予測していた.しかし,結果としては高齢者群および若年者群ともに一般的なロボットに用いられる特性を支持していることが明らかになった.さらに,本研究ではロボットによる生活支援を取り上げていることから,ロボットアームに加えて他のタイプのロボットが生活支援に供する可能性について検討してみる必要があると判断した.そこで,生活支援用のロボットとして一般的に用いられており,また今後とも普及が拡大するであろうペット型ロボットと掃除機型ロボットについて高齢者群と若年者群を対象に調査をおこなった.その結果,年齢特性に依存したロボットニーズの一端が明らかになった.
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