研究概要 |
健康評価指標となる腸内ビフィズス菌量の簡便な評価法を確立するため,本研究では,主としてビフィズス菌のα-ガラクトシダーゼにより分解されるα-ガラクトシルキシロース(α-GalX)を経口投与し,尿中に排泄されるキシロース(X)量から腸内のビフィズス菌量を直接評価するという,新規な手法の可能性を検討した.α-GalXの酵素合成法は未報告であるため,まず,α-GalXの調製法を検討した. 1.キシロース(X)を受容体とするα-ガラクトシダーゼの検索 既に構築済みの食品用酵素剤を起源とするα-ガラクトシダーゼライブラリーを用いて,供与体にメリビオース(Me),受容体にXを用いた転移反応を行った.転移反応溶液をHPLCにて分析し,α-GalXの調製に適した酵素を選択した.その結果,α-GalXと思われる転移生成物を生成する酵素剤APCを見出した.本酵素は,アミノ安息香酸エチルエステル標識化法によるHPLC分析にて,α-GalXと思われる2種のピーク(A, B)を生成した. 2.α-GalXの調製 APC酵素を用いてα-GalXの合成条件を検討し,10%Meと20%Xの条件を設定した.1.0gのMeと2.0gのXに,800UのAPC-9319酵素を40℃で37分間反応させた.α-GalXの収量は,Meにして約10%であった.活性炭カラムに,転移反応溶液を負荷し,H_2Oにて単糖を溶出後,0%→10%EtOHの濃度勾配によって,糖質を溶出した.ピークAとBは,それぞれ,6.6%と5.2%EtOHで溶出された.得られたピークAとBを,トリフルオロ酢酸を用いて分解した結果,両者ともGalとXから構成されおり,α-GalXであると推定された. 今後は,ピークAとBの構造解析,大量調製,動物実験による検証を行う予定である.
|