研究概要 |
1.授業設計過程のISM分析 授業設計の手がかりについては、すでに(1)教科書の指導書,(2)授業の構成,(3)反応・応答,(4)(教師の)働きかけ,(5)板書,(6)指導教官・同僚の授業,(7)レディネス,(8)具体例の活用,(9)教材研究,(10)教科書,(11)先行実践の指導案,(12)学習活動(13)シミュレーションの因子を抽出したが、これらの手がかりをどのような順序で授業設計をするか-対比較法による質問紙法で教師と教育実習生の思考過程を調査した.これらの調査結果を,ISM法により分析し手がかりをどのような順序で使って授業設計するか図に表した, 2.授業設計過程における教師と実習生の比較分析 教師の授業設計の思考過程をアンケート調査により分析・検討した,教師は教職経験に応じて多くの手がかりを活用し,授業設計手がかり因子のほぼすべてを用いる豊かな授業づくりを行うようになること、教育実習生にはこの活動が乏しいことが明らかにされただけでなく、教育実習生はどの手がかりを使っても最終的にシミュレーションに収束するかたちで授業設計を行うが,教師が授業設計するときには必ずしもシミュレーションで終えなくても多様な設計の終わり方があることが明らかになった. 3.教師による子どもの認知過程の共有 教師が授業設計をするときに子どもが教材を理解する認知過程を共有することが有効であることを示した.授業設計は、「情報収集,教材の表象(具体化),授業過程の構成・検討」の3つの階層にわたる活動である.教師は「教材研究→学習活動→働きかけ→反応・応答」の流れで教材の表象を図り,働きかけ・授業過程を構成する仮説生成を行う.そこで,「教材研究,働きかけ,授業過程の構成」に関連して子どもの教材を理解する認知過程を共有するための教師への情報の支援が求められる.
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