研究概要 |
これまでに2003-2005年の3年間にわたり,モンゴル国際空港レーダーで観測されたレーダー降水分布データとSPOT_NDVIデータが蓄積された.このデータを用いてモンゴル植生変遷域におけるNDVI(植生活動度)の時空間変動とレーダー降水量分布の関係についての解析を進めた. その結果,降水量の少ない乾燥ステップでは,多量の降水が6-7月にもたらされると,その領域のNDVI偏差は,10-40日後に正になる(植生活動度が活発)ことが分かった.逆に,6-7月の降水が少ないと負のNDVI偏差になる.そして,6-7月の降水が多い年には,NDVIが最大値を示す時期が早まることが分かった.つまり,6-7月の降水は,乾燥ステップの草本の生育時期を早め,かつ,植物生産量も増加させていることが示された. 一方,比較的降水量が多い森林ステップでは,6-7月の降水量が大きく変動しても,NDVI偏差の正負やNDVIが最大に達する時期との関係は不明瞭であった.非常に降水量が少ない2005年であっても,正のNDVI偏差が観測された領域もあることから,森林ステップ。における草木の降水量に対する応答は,乾燥ステップと大きく異なることが示された. このように,レーダー降水量分布データを利用することで,半乾燥域の植生が降水に対して,どの様に応答するのかを,明瞭に示すことができた.
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