研究課題
萌芽研究
超音波により発生する単泡性衝撃波とレーザーによって誘起される衝撃波もしくは摂動を同期させ、超高温超高圧の衝撃波圧縮を実現させ、ナノスケールの超高温、超高圧プラズマ状態を発生させることを目標とした。超高温・超高圧ナノ反応場における化学、物理反応とその制御可能性について調査検討した。水中で超音波とレーザーの相乗効果によりナノプラズマを生成させる研究では、パルスレーザーの空間的時間的な不安定さの問題が残った。また、二種類の衝撃波を時間的空間的に重ねるための最適化手法にも課題が残った。一方で、衝撃波圧縮で生成する化学種のなかで最も反応性に富むOHラジカルと、周囲の水との間の相互作用の解明に成功した。衝撃波圧縮で生じるキャビテーションの効果は、気泡圧壊時に出現する高温高圧条件下における様々なラジカルの生成と、その結果おこるラジカル反応の進行が挙げられる。特に水中の超音波照射で生じるOHラジカルは、大きな役割を果たしていると考えられている。OHラジカルは、超音波化学だけでなく、多くの化学反応系において、反応性を支配するといわれている。放射線化学や生体内反応などの水中での反応においても中心的な役割を果たしており、水とOHラジカルとの相互作用の理解は、超音波化学およびこれらOHラジカルのからむ溶液反応の解明にとって本質的な重要性をもつ。本研究では極低温に冷却した固体希ガス中に試料を単離する低温希ガスマトリックス法を用い、水多量体を前駆体とし真空紫外光分解することでOH-H_2O錯体を生成した。マトリックス媒質にはNeを用い、マトリックス媒質と試料分子との分子間相互作用による摂動(いわゆるサイト効果)が無視しうるほど小さい条件下で、OH水錯体の赤外スペクトルの測定に成功した。また幾何構造を、測定結果と量子化学計算との比較から決定した。
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Physical Chemistry Chemical Physics 8
ページ: 256-263
Chemical Physics Letters 409
ページ: 93-97
Journal of Geophysical Research 109(D8)