研究課題
萌芽研究
光合成を模した高効率光エネルギー伝達システムの構築は、科学技術における最優先課題の1つである。我々は、光捕獲ナノスターデンドリマー・共役系ポリマーを用いた高効率エネルギー伝達システムの構築、そのエネルギー伝達機構の解明をめざした研究を行っている。また、高効率エネルギー移動を用いたレーザ素子の構築を目指している。今年度は、昨年度開発したイメージング分光法を大幅に進展させ、「シングルショットで動作する実時間ポンプ・プローブイメージング分光法」を新たに構築した。この手法を用いれば、わずか〜20ショットの光パルス積算で、時間範囲〜6ピコ秒、波長範囲420〜650ナノメートルの過渡吸収変化を一度に同時マッピングすることが可能である。これにより、多数の光パルス照射により劣化してしまう人工生体系試料のエネルギー伝達機構の解明が可能となった。そこでこの手法を用いて、生体系試料の1つであるPMMAポリマーに分散させたベータカロテン薄膜、光捕獲デンドリマー(Star-Shaped Stilbenoid Phthalocyanine)溶液の過渡吸収変化の時間・波長特性の2次元マッピングを行った。ベータカロテン薄膜は固体状試料であり、同じ場所に光パルスが当たり続けるため、わずか2秒(2000ショット)のパルス照射で試料は完全に光劣化してしまう。我々の開発した分光法では〜20ショットの光パルス積算で測定が行えるため、このような生体系薄膜試料においても、過渡吸収スペクトルを2次元マッピングすることに成功した。これは、固体状カロテノイドにおける超高速現象の初めての測定例である。光捕獲デンドリマーにおいては、分子振動を伴う側鎖からコアへの超高速エネルギー移動を感度良く捉えることに成功した。
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Journal of Luminescence (accepted)(印刷中)(上半期までに発行)
Ultrafast Phenomena XIV, (Springer Series in Chemical Physics, Springer, Tokyo, 2005) 79
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Ultrafast Phenomena XIV, (Springer, Tokyo, 2004) (印刷中)