研究課題
萌芽研究
必須元素としての役割を持つ金属は、生体における様々な代謝反応の補因子や蛋白質の構造維持、さらにはシグナル伝達物質としての役割など、生命活動の維持に重要な役割を有する。しかしながら、その生体や細胞内での運搬、吸収、貯蔵、利用の分子メカニズムは一部を除いてほとんど解明されていない。そこで,本研究では金属代謝機構に関連する遺伝子を包括的に同定し,これらの遺伝子機能の解明を目指して研究を遂行し,以下の結果を得た。出芽酵母の欠損株プールを利用して、前年度の培養条件の検討をもとに鉄欠乏に対する感受性が増大する欠損株の取得を行った。ヒストン脱アセチル化酵素と相互作用するCti6が鉄欠乏に感受性を示すことが報告されているがこれ以外に新たな遺伝子の取得には至らなかった。引き続き亜鉛に関して、その欠損が亜鉛欠乏に対して強い感受性を示す株の取得を行っている。また、すでに金属代謝への関連が考えられる遺伝子に関して、そのホモログ遺伝子のトリDT40細胞での遺伝子破壊による表現型解析を行った。特にゴルジ体付近の分泌経路に局在するトランスポーターZnT-5,ZnT-6およびZnT-7に注目して、これらの単独欠損株、多重欠損株を作成した。これらは亜鉛トランスポーターであると考えられたため、亜鉛要求性酵素であるアルカリフォスファターゼの活性を測定したところ、これらの遺伝子欠損によりアルカリフォスファターゼ活性が顕著に低下することが観察された。この結果より、ZnT-5,ZnT-6およびZnT-7は分泌経路においてアルカリフォスファターゼに亜鉛を配位させる過程で必要とされることが明らかとなった。さらに、タグを付したZnT-5とZnT-6、ZnT-7を欠損株で発現させ、免疫共沈することによりZnT-5とZnT-6がヘテロ複合体を、ZnT-7がホモ複合体を形成することを示した。
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