研究課題
萌芽研究
本研究は、イスラーム世界と日本との文明間対話を促進するための先導的研究として実施した。過去20年の間に、イスラーム世界と西欧世界との間には緊張が高まってきたが、研究期間中の2005年度には、ロンドン同時テロ事件、フランスでの暴動、預言者ムハンマドの風刺画問題と、さらに両者の関係が悪化したことを示す事件が多発した。本研究では、日本が両者の間にあって中立的位置にある立場を活用し、衝突ではなく、対話を促進するための具体的方途を考究した。オランダ、フランス、オーストリアにおいて、反イスラーム感情の高揚が、いかなるメカニズムで発生するかを明らかにし、トルコにおいては、ヨーロッパ側での反イスラーム感情が、トルコのEU加盟問題に与えた影響を分析し、両者の争点を中立的立場から解釈し、日本国内に向けて成果を還元した。本研究の成果としては、メディアの影響、とくに憲法で保障された「表現の自由」とイスラーム主義者側が主張する「神の法」にもとづく規範との衝突が顕在化していることが明らかになった点をあげることができる。この点は、従来の「文明間対話」が、衝突回避のための有効性を持ち得なかったことを示しており、新たな「対話」のための知的枠組みの構築が急務であると結論づけることができる。本研究計画に記載した対話の実践に関しては、トルコとオランダにおいて、市民、NGO、政府関係者、政治家などへのインタビューを映像化し、一橋大学におけるデジタルアーカイブ化を緒につけた点で成果をあげた。成果の一部は、ストリーミング配信システムによって研究代表者のHPで公開したほか、NHK教育テレビの学校放送番組(高校講座・地理)でも放送した。また、本研究の成果は、『イスラーム戦争の時代〜憎悪の連鎖は解けるのか』(日本放送出版協会)から2006年4月に刊行される。
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