研究課題/領域番号 |
16654014
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
幾何学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小林 俊行 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (80201490)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2005年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2004年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 可視的作用 / 無重複表現 / 重複度 / グラスマン多様体 / 複素多様体 / エルミート対称空間 / リー群 / 等質空間 / 作用 / 表現 / 既約分解 / 可視的 / 分規則 / ユニタリ表現 / 最高ウェイト表現 / 再生核 |
研究概要 |
研究代表者が提唱した「複素多様体における可視的な作用」の幾何的側面の研究を続行した。「複素多様体における可視的な作用」という概念は、「シンプレクティック多様体におけるcoisotropicな作用」,「リーマン多様体におけるpolar作用」と三極をなす概念であり、群の軌道が無限個となるような(推移的とはかけ離れた)作用に対しても、無重複表現を生み出す基礎構造として導入された。本年度は「エルミート対称空間における双正則変換群の対称部分群の作用は、常に、強可視的であり従って可視的である」という定理を証明した。この結果は、学術誌"Transformation Groups"で出版される予定である。 上記の定理が、有限次元表現における無重複定理(GL-GL双対、岡田-Krattenthalの公式),や無限次元表現におけるいくつかの無重複定理(たとえば、正則離散系列表現のKタイプ公式における無重複定理(Hua-Kostant-Schmidの公式),GL(n, R)/O(n)などのリーマン対称空間におけるPlancherel公式の連続スペクトラムの無重複性定理)を包括する新しい幾何的な原理となることも証明した。表現の理論への応用に関しては次の研究課題として実り豊かな内容があると考える。 さらに、対称空間の枠組みを越えた場合についても、可視的な作用の系統的な研究を推し進めた。特に、A型の群に対する旗多様体に限定して、その可視的な作用の分類を研究した。さらに、対称空間に対する古典的概念であるカルタン分解が、このA型の旗多様体において、作用が可視的な場合には一般化できることを発見し、「ヘリンボン・ステッチの手法」と名づけた組合せ論的手法によって「編み上げカルタン分解」を与えた(論文[4])。 これらの結果の一部を、東京大学・広島大学で連続講義した。また、幾何学シンポジウムおよびSousseのInternational Conference on Harmonic Analysis and Applications等で可視的な作用に関する話題を講演した(いずれも参加者が100名を越える研究集会でのplenary lecture)。この講義録の一部を執筆中である。
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