研究概要 |
可積分系戸田方程式のタウ関数解として,種々の組合せ論的数のハンケル行列式が計算可能となる.また,qdアルゴリズムの形に書いた離散時間戸田方程式によってディック路の重みの総和の数え上げが実現される.以上の研究を出発点に,本研究課題は,可積分系の視点から組合せ論研究を創始するものである.最終年度である,平成18年度は研究代表者の研究室において以下の進展があった. モズキン数は座標平面の高さゼロの2点を結ぶ上半面のある種のグラフ(モズキン路)の数え上げに関る数である.重みつきモズキン路とその連分数表示を通じて,ある多項式を定める3項漸化式が導出される.グラフの性質より多項式の直交性が証明され,さらに,多項式の行列式表示を通じてモーメントのなす行列式が重みつきモズキン路の総和を表すことがわかる.さらに,モズキン路に関る直交多項式の直交関係式を2個の任意パラメータを含むように拡張することでファバード路と呼ばれるグラフとモズキン路を連接したグラフに関連する直交多項式が導出されることが示される. 直交多項式は一般に行列式表示をもつ.モーメントの離散的なスペクトル変形は直交多項式の変形,さらには,行列式の変形を引き起こすが,この行列式の変形方程式が,離散可積分系に他ならない.このように,本研究を通じて,ディック路,シュレーダー路,モズキン路,ファバード路などの種々の平面グラフの数え上げの問題を直交多項式や離散可積分系を通じて統一的に理解できるようになった.
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