研究課題/領域番号 |
16654045
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
増田 康博 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (60150009)
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研究分担者 |
鄭 淳讃 (JEONG Sun-Chan) 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (00262105)
渡邊 裕 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (50353363)
安達 利一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教授 (80141977)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2005年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2004年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 素粒子原子核理論 / 中性子基礎物理 / 中性子源 / 超冷中性子 / He-II / スパレーション中性子 |
研究概要 |
スパレーション中性子と超流動ヘリウム(He-II)を用いた新しい超冷中性子(UCN)発生の研究を行った。この新しいUCN源は、実験への応用で最も重要なパラメータとなるUCN密度を革新的に増大させる。 UCN密度は、He-II内に入射する冷中性子束、UCN生成断面積、そしてUCN生成容器内でのUCN貯蔵寿命に比例する。冷中性子束は、スパレーション中性子発生のための陽子ビーム強度と中性子反射体等の周りの物質の配置に依存する。平17年度は、中性子反射体としてグラファイトを設置し、冷中性子束を2倍に強化した。また、UCN貯蔵寿命を長くするため、He-II温度を1.2Kから0.5Kに下げるため、3He冷凍器を完成させた。これにより、He-II内のフォノンの数を少なくし、UCN損失率を小さくできる。 UCN発生に用いる陽子ビームの強度が大きくなると、スパレーション反応に起因するγ線強度が大きくなり、それに伴い、He-II内でのγ発熱が、大きくなるので、使用できる陽子ビーム強度は、He-IIに対する3He冷凍器の冷却力できまる。モンテカルロ計算によると5kWの陽子ビームでは、He-II内に1Wのγ発熱が発生する。He-IIにヒータを挿入し、発熱量とHe-II温度の関係を調べたところ、1Wの発熱に対して、現3He冷凍器で、He-II温度を0.7K台に維持できることが判明した。 0.7Kでのフォノンによる損失に起因する寿命は数100秒となり、容器壁との衝突時の損失をいれると、150秒の寿命が実現できる。よって、寿命の増大は10倍となる。陽子ビームの強度は、現在160Wであるので、これを5kWにすると、31倍になる。これらに中性子反射体の効果を合わせて、620倍の強度増強が可能となる。今回の研究成果を適用すると世界最強のUCN源が現実のものとなる。
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