研究課題
萌芽研究
本研究は3次元孤立渦の定常運動として渦ソリトンを取り上げ、それにより誘起される粒子運動を数値計算により求め、渦ソリトンによる流体輸送を議論することを主なる研究目的としている。渦という安定かつ特異的な流体中の素励起が流体の輸送にどのように寄与しうるかを考えることを主眼において研究を続けている。最終年度として渦ソリトン周りの粒子の周期運動の問題を他の3次元渦糸運動へ拡張することを考え、具体的な例として楕円渦輪の非定常運動とそれに伴う粒子運動へ問題を拡張した。楕円渦輪の非定常運動は円形渦輪の直接的な発展問題として考えられるが、その解を実際に書き下すことは未だ解かれていない問題である。粒子運動を考察し、長時間に渡って正確に位置や統計あるいは流体輸送を計算するには渦運動の解析解を構成することが第一歩である。このような考えの下で各種の考察を行い、非線形シュレディンガー方程式の解を有限帯ポテンシャルを用いて書き下し、渦糸が閉じる条件を固有値問題として考察する方法に行き着いたが、未だ具体的に解を構成するところまでは至らなかった。渦輪と粒子の運動を計算機を使ってシミュレートし、解の定性的な性質については詳細に理解することができた。途中経過を含め、問題解決の見通しについては8月25日〜30日にモスクワのSteklov Mathematical Instituteで行われたIUTAMシンポジウム「Hamiltonian Dynamics, Vortex Structures, Turbulence」で発表をおこなった。
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Proceedings of the IUTAM symposium on Elementary Vortices and Coherent Structures : Significance in Turbulence Dynamics
ページ: 275-282
Mathematical and Physical Theory of Turbulence (A Series of Lecture Notes in Pure and Applied Mathematics) volume 250
ページ: 101-114
Journal of Fluid Mechanics 510
ページ: 201-218
in Proceedings of the IUTAM Symposium on Elementary Vortices and Coherent Structures : Significance in Turbulence Dynamics, (S.Kida, ed., Kluwer) (in press)